【CEDEC2026 フォローアップ】専門性の高いデフォルメチームが挑んだ人材育成戦略 ~Cygames Academiaの企画から実施まで~

こんにちは。Cygamesデザイナー本部の山邉です。CEDEC2026では「専門性の高いデフォルメチームが挑んだ人材育成戦略 ~Cygames Academiaの企画から実施まで~」というセッションを行いました。ご参加・ご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。

当日の資料はこちらです。


Ask the speakerで寄せられた質問への補足

Ask the speakerでは、多くのご質問をいただきました。中でも複数の方から寄せられたのが、「どのような社内プロセスを経て、『Cygames Academia』の承認と実施に至ったのか」というご質問です。会社や組織によって承認の進め方は異なりますが、通常業務の枠を越える新たな取り組みでは、企画の目的や必要性を整理し、関係者との認識を段階的に合わせる必要があります。 
当日は、この考え方を「ひとマスずつ進める」と表現しました。ここで言う「ひとマス」とは、単に企画を小さく始めることや、承認を複数回に分けることではありません。一つひとつの取り組みで提供する価値を明確にし、その結果や課題を関係者と共有しながら、次の検討へ進める状態をつくることを指します。 
今回の「Cygames Academia」も、単独の企画として突然始まったものではありません。Cygamesではこれまで、会社説明会やポートフォリオアドバイス会などを通じて、教育機関の皆さまと継続的に意見を交わしてきました。 各取り組みでは、学生にとって学びがあり、教職員にとっても意義のある機会となることを重視しました。その中で、通常の会社説明会とは異なる企画についてご相談をいただいたり、学生の作品を講評する機会をいただいたりと、教育機関と検討できる取り組みの幅が広がっていきました。 
「Cygames Academia」は、こうした教育機関との対話を通じて、学生に提供できる新たな教育機会として企画したものです。本講座の開催自体を当初から目標としていたのではなく、教育機関や学生の状況を踏まえ、その時点で提供できる内容を検討した結果、今回の実施に至りました。 

社内でどのように意義を説明したか

教育施策には、短期的な成果や採用人数といった数値だけでは、その価値を評価しにくい側面があります。そのため今回の講座では、採用へ直接結びつけることを第一の目的とせず、学生がデフォルメに関する知識と技術を身につけるための教育機会として、企画の目的を設定しました。
社内での検討にあたっては、主に以下の項目を整理しました。

  • 講座を実施する目的
  • 対象となる学生と、その時点での習熟度
  • 講座で扱う内容と到達目標
  • 実施に必要な工数と体制
  • 講座によって期待する変化

これらを整理したうえで、関係者と企画の意図や実施条件について認識を合わせ、講座内容と実施方法を具体化しました。
その際に重視したのが、「一部の優秀な学生を選抜するのではなく、クラス全体の実力を一段階引き上げる」という考え方です。この方針に基づき、すでに高い技術を持つ学生だけを対象とするのではなく、受講する学生全体がデフォルメに対する理解を深め、その後の制作に生かせる講座内容を検討しました。
成果を確認することは必要ですが、教育施策の価値は短期的な数値だけでは判断できません。受講者が何を理解し、制作にどのような変化が生まれたかも含めて評価する必要があります。Cygamesでは、こうした参加者の成長を重要な判断軸としています。

新しい取り組みを実現するために

新たな教育施策や通常業務の枠を越えた企画を進める場合、最初から大規模な完成形を提案するだけでは、企画の必要性や実現可能性を関係者が判断しにくいことがあります。重要なのは、まず取り組みの対象と提供する価値を明確にすることです。そのうえで、実施によって得られた結果や課題を共有し、次の取り組みについて検討できる状態をつくります。当日のお伝えした「ひとマスずつ進める」とは、この一連の進め方を指しています。
新たな取り組みを検討する際には、まず手の届く範囲で対象、目的、提供する価値を整理し、関係者との認識を合わせるところから始めることが重要です。

最後に

CEDEC2026のセッションをご聴講いただいた皆さま、また本記事を最後までお読みいただいた皆さまに、改めて御礼申し上げます。
新たな教育施策や、通常業務の枠を越えた取り組みを進める際には、企画の必要性をどのように伝えるか、関係者とどのように認識を合わせるかなど、さまざまな悩みが生じます。今回ご紹介した内容が、同じような課題に向き合っている皆さまにとって、ご自身の取り組みを前に進めるための一つの参考になれば幸いです。
最初から大きな成果や完成形を目指すのではなく、まずは目の前の相手にどのような価値を届けられるかを考え、できることから着実に進めていく。その一つひとつが、次の機会や新たな取り組みにつながっていくと考えています。
皆さまの取り組みが、それぞれの現場における学びや成長につながることを願っています。