【CEDEC2020 フォローアップ】『プリンセスコネクトRe:Dive』が目指した、アニメRPGとしてのゲーム演出制作事例 ~テレビアニメとゲーム演出、二つの制作手法を融合して生まれたカットインアニメーション~


こんにちは、『プリンセスコネクトRe:Dive』インタラクションデザイナーチームの工藤です。
先日開催されたCEDEC2020にて、「『プリンセスコネクトRe:Dive』が目指した、アニメRPGとしてのゲーム演出制作事例 ~テレビアニメとゲーム演出、二つの制作手法を融合して生まれたカットインアニメーション~」と題しまして講演をさせて頂きました。
初めてのオンライン開催に加え、Youtubeでも配信して頂いた事で多くの方にご聴講いただける運びとなりました。この場をお借りして、厚く御礼申し上げます。

本公演では、『プリンセスコネクトRe:Dive』におけるカットインアニメーションを制作する中で、アニメ演出をゲームに入れ込む際の課題と解決法をはじめ、カットインアニメーションが持つ役割、制作におけるノウハウ、新しい表現への試みを紹介しました。
以下が講演資料になります。

アニメ演出をゲームに入れ込むときの課題と解決法

アニメ演出をゲームの素材として入れ込むにあたり、大きく二つの課題がありました。

  1. アニメとゲームの制作体制の違いによる課題
  2. 演出のテンポ感の違いによって生じる違和感の課題

この二つを解決する手段として採用されたのが「パーツアニメーション技法」です。
パーツアニメーションでは、少ない原画枚数でアニメーションを制作することができるため、外部に依頼していた作画工程を社内制作にシフトする事ができました。また、この手法はSDキャラクターの演出でも取られており、同じ手法で制作することによりバトルシーンで演出のつながりに違和感を無くす事ができます。

カットインアニメーションの役割

『プリンセスコネクトRe:Dive』においてカットインアニメーションの役割といえる大切なポイントが3つあります。

  1. キャラクターの魅力を最大限に見せる
  2. バトルシーンを“2秒”で盛り上げる
  3. アニメとゲームをつなぐ

この3つの役割を果たすため、制作の各工程において工夫を凝らしています。中でも最も大事なキャラクターの魅力の見せ方においては、主にプランニングと作画に力を入れ、キャラクター一人一人の個性が際立つ演出、そしてユーザーの心に残る魅力あふれる作画にこだわっています。

アニメーション制作においては技術的な面で工夫を凝らすことで、よりTVアニメらしい表現を目指しており、例えば3Dライクなパーティクルは控えめにして手描きにこだわったエフェクト作りや、メッシュ機能を使った柔らかい表現でパーツアニメの持つ機械的な動きをなるべく緩和しています。

カットインアニメーションとSD演出が一体となった演出になるために、指針となるコンテの存在とチームの連携がとても大切です。

プリンセスフォームの制作

カットインアニメーションの新しい表現としてプリンセスフォームのカットインアニメーションがあります。従来のカットインアニメーションよりも豪華に、そしてよりアニメらしくというコンセプトの元、各演出制作チームが密に連携して一つの演出を制作しております。

従来とは違う新しい試みとして、SDキャラクターとカットインアニメーションが何度も切り替わる事や、従来よりも演出のスケールが大きい事、そしてストーリーアニメの演出と全く同じものにすることで、ゲームとアニメの繋がりを深めるといった試みがされています。

今まではカットインアニメーションのみが動画だったところを、SD演出も含めてすべて動画化することでエフェクト演出にも制限がなくなるなど新しい挑戦を多数行っております。

頂いた質問とその回答

講演当日は、多くの質問をいただきありがとうございました。その中で一部ではありますが、いくつかをピックアップしてこちらの記事でも回答をさせて頂きます。

Q. 「パーツアニメ」と「TVアニメ風」のカットインアニメ、コスト(人月)はどれくらい違うのでしょうか?

A. キャラクターによって実制作にかかる日数が違うので単純比較はできませんが、パーツアニメーションの方が仕様変更などで作業の後戻りが発生した際の修正コストが少なく、ゲーム開発の現場では適している手法になります。

Q. パーツアニメーションを制作する人員は前作のFlashアニメーターが多くかかわっているのでしょうか

A. 前作より規模は拡大しておりますが、元々Flashアニメーターだった方も現在多く活躍しております。

Q. カットインパーツアニメは、リアルタイム再生ではなくプリレンダムービーなんでしょうか?

A. その通りです。プリレンダムービーにすることでエフェクトやパーツの表示制限がなくなり、豪華なエフェクト演出や複雑なアニメーションでも負荷なく再生することができます。また、よりアニメらしい表現を加えるため作業工程の最後に撮影作業があります。これを加えるためにも、現状プリレンダムービーで制作することが最良と判断しております。

Q. UB時のセリフをカットアニメシーンで口パクさせていないのは何か理由などあるのでしょうか?

A. プリンセスコネクトRe:Diveにはバトルの倍速演出が存在しており、等速と倍速ではセリフが微妙に違うものがあります。どちらの速度でも使われているムービーは同じなので、あえて口パクをつけない演出を制作しています。

最後に

私たちカットインアニメーション制作チームは、キャラクターの魅力をユーザーに届ける事を第一に考え、クオリティに妥協しない事を心がけております。
その上で、新しい表現にチャレンジをしたり、どんな見せ方をすればもっとキャラクターを輝かせることができるかと日々考え、全てのキャラクターに全力を注いで制作しております。
今後とも、最高のキャラクター演出を皆様にお届けできるよう精進して参りますので、何卒ご期待ください!