【CEDEC2020 フォローアップ】ゲームの世界を完全再現する -グラブルフェスを支える技術とプランニング-


『グランブルーファンタジー』メディアプランナーの堀と間宮と申します。2020年9月4日に開催されたCEDEC2020にて『ゲームの世界を完全再現する ―グラブルフェスを支える技術とプランニング―』という講演を行いました。
ご聴講いただいた皆様には厚く御礼申し上げます。
今回は本公演のフォローアップとして、講演資料とサマリーを公開いたします。

グラブルフェスの根幹思想

初めに、グラブルフェスのビジョン“「グラブル」の世界を完全再現する”のための4つ根幹思想を紹介しました。

  • 現実的に実施可能な最高値を求める
  • 恒常的な施設ではないからこそ細部までこだわる
  • 自己満足で終わらないリアルイベントの作り方をする
  • 会場にいない人にもイベントの楽しさを提供する

トークステージを魅力的にする3つのポイント

Point1: 幅広い層にリーチするための「バランス感覚」

┗会場と配信双方の視聴者が楽しめる企画を用意し、画面割にも気を配る
┗初心者からヘビーユーザーまで全ての層が楽しめるよう、バラエティ企画の内容や景品にもこだわる
┗本放送とは別の裏番組を配信しコンテンツの幅を広げる

Point2: 全スタッフを当事者とした「理解徹底」

┗本番1か月前という早いタイミングで本番同様の環境を作り事前リハーサルを行う
┗これによりスタッフの人的ミスを減らし、事前説明によってキャストの不安も解消する

Point3: 連携が生み出す効果的な「情報発表」

┗ゲーム開発チームや各情報媒体との連携を密に取り、発表内容をよりドラマチックに演出する
┗担当者がオフラインイベント専門ではなく、平常業務でゲーム運営に携わっているからこそ行える施策

3DCGライブでキャラクターを「完全再現」するためのリアル感の追求

Point1: ディラッドスクリーンの使用

┗非常に薄い半透明の「ディラッドスクリーン」を用い、ステージ上にキャラが立っているように演出
┗天吊りしたスクリーンをライブ直前に降ろすことで、生身の人間が立っていた位置にキャラを立たせる

Point2: アドリブMCパート

┗ライブ前後に、舞台裏の声優とモーションアクターが連携した生アフレコのMCを行う
┗その場でお客様との会話を成立させることで、ライブ感を出す

Point3: レンダリング方法の使い分け

┗激しい動きのあるダンスパートはキャラクターが最も美しく見えるようプリレンダリング
┗MCパートは会話の内容に合わせて自然な動きができるようリアルタイムでレンダリング

配信視聴者への対応

┗会場内とは別のARライブ映像を投影
┗客席の空気を共有しながらカメラワークや照明演出にこだわることで映像コンテンツとしての質を向上

グラブルフェスの体験コンテンツについて

講演後半は、グラブルフェスの体験コンテンツについて紹介しました。

 グラブルフェスの体験コンテンツ

「遊べる」体験

┗キャラクターをモチーフにしたミニゲームで遊べるコンテンツ

「会える」体験

┗「VR四騎士」「キャラクタートークスポット(※グラブルフェス2020にてお披露目予定)」など

キャラクターに目の前で会えるコンテンツ

「見られる」体験

┗「グランサイファーライド」「スペシャルショー」などグラブルの物語や世界を見て楽しめるコンテンツ

「味わえる」体験

┗「カフェ ミレニア」など、実際にキャラクターになりきれるコンテンツや、キャラクターをモチーフにしたフードやドリンクを楽しめるコンテンツ

 

講演では、上記のコンテンツの中から「グランサイファーライド」「スペシャルショー」「キャラクタートークスポット」について詳しく紹介しました。

グランサイファーライドについて

グランサイファーライドが目指したのは「空の冒険」の体験でした。

 「空の冒険」の体験を作る4つのポイント

Point1: 「体験」の設計

┗「空を飛んでいるような体感」に加え「冒険」が味わえるシナリオの設計

Point2: 世界観を壊さず拡張する「映像」

┗原作ゲームイラストの印象から離れず3DCG化

Point3: 映像の内容を体感させる「特効」

┗細かなタイミング調整で映像と完全にリンクした体感を作る

Point4: 世界観に没頭してもらう「工夫」

┗舞台装置や運営上必要なスタッフ・整理券等にも世界観やストーリーを反映させる

 スペシャルショーについて

スペシャルショーが目指したのはグラブル5年間のシナリオやイベントシナリオの「思い出の共有」という体験でした。

「思い出の共有」の体験を作る4つのポイント

Point1: 「感情」の設計

┗「引き込まれる」→「楽しい」→「カッコいい」→「悲しい」→「大迫力」と見ている人の感情をひとつにしつつ、後半に向けて徐々に昂るように

Point2: シナリオに合わせた効果的な「表現」

┗紗幕を使った演者へのエフェクト投影で臨場感のある「ファンタジーのバトル」の表現

Point3: 会場にいない方も一緒に「共有」できる工夫

┗配信でも見劣りしない画づくりと計画的な情報出し

キャラクタートークスポットについて

「キャラクタートークスポット」は、キャラクターとお客様がリアルな会話体験が楽しめるコンテンツです。

こちらはグラブルフェス2020にて初お披露目予定ですので、ぜひお楽しみに。

最高の「体験」を作るために

「当たり前のことを当たり前にやる」

┗体験は人間の感覚に深く結びついているため、「当たり前」を少しでも裏切るとそこから大きな違和感が生じてしまう

┗「空飛ぶ艇に乗ったら身体がこの方向から風を受ける」など、ファンタジーの世界でもその状況に応じた「当たり前」を追求することが大事

 

リアルイベントを開催する意義

お客様に「もっと」グラブルを好きになっていただく

  • ステージコンテンツ
  • 会場内外で楽しめる最高のステージライブ
  • 新情報・制作陣の生の声を届ける

プレイへのモチベーションを高めていただく

  • 体験コンテンツ
  • キャラクターや世界観を体験できるコンテンツ

キャラクター・世界観への愛を深めていただく

 

リアルイベントの成果

SNSの盛り上がり

「グラブルをやっていてよかった」「Cygamesのゲームをやっていてよかった」という声も

数字的な効果

  • ゲームの宣伝効果によるユーザー数の増加(新規、復帰)
  • ゲームの話題の盛り上がりによるプレイモチベーションの向上
  • キャラクター・世界観への愛が深まることによるキャラクター取得率の増加

おわりに

昨今は新型コロナウイルス感染症の感染拡大という大きな問題もあり、リアルイベントの開催には厳しい状況が続きます。

しかし、私たちはこれまでもこれからも、お客様に「最高の非日常」を体験いただき「グラブルを、Cygamesのゲームをやっていてよかった。これからも続けたい」と思っていただけるよう、様々な手を尽くしながら最高のグラブルフェスをお届けできればと思います。

最後に、余談にはなりますが、Twitter等でいただけるご意見ご感想はチーム全員で有難く拝見していまして、可能な限り取り入れさせていただいております。

いつも貴重なご意見ありがとうございます。

これからもグラブルフェス、そしてグランブルーファンタジーをよろしくお願いいたします。