【米国企業視察レポート】後編|Cygamesのデバッグの未来像が見えた!


皆さまこんにちは。Cygamesでデバッグマネージャーを務めている安倍と申します。リリース前のゲームを検証し、ユーザーが快適にプレイできる品質を確保するのが主な職務です。

前回のエントリーでご紹介した米国企業視察に、私も参加してきました。レポートの後編となる今回は、デバッグを統括している者の立場から得たいくつかの気づきを共有します。

Cygamesでは世界展開を行うゲームタイトルが増えてきています。同じようにグローバルで成長するゲーム企業が、自社タイトルの品質管理についてどのような取り組みを行っているのかを確かめることが私の目的でした。

世界一のゲームを支える労働環境と開発環境

視察の概要は前編でお伝えしたので、ここでは個人的に興味深かった部分にフォーカスしてお伝えします。いくつかの企業を訪問した中で、特に刺激を受けたのがRiot Gamesの本社です。

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Riot Gamesは、オンラインゲームの代表的タイトル『League of Legends』(以下、LoL)の開発・運営会社です。LoLは2009年にリリースされた後、2016年には月間アクティブユーザーが1億を突破した、まさに世界トップクラスのタイトルです。また、同社はesports分野にも力を入れており、本社の敷地内にも大会用のスタジアムを設置しています。

同社の取り組みの中で印象的だったのが、素晴らしいプロダクトを生み出すための充実した開発環境。中でも、開発中のゲームのプレイテストを実施できる「PLAYER RESEARCH LAB」という専用ルームがあるのには驚きました。この部屋に2週間ごとにリサーチプレイヤーを集め、テストプレイを繰り返しているそうです。特定の操作の意見や感想を聞くなどして、ピンポイントにプレイヤーの意見を収集できるのは、デバッグの手法としては効果的だと思いました。

最高のコンテンツを支える最高のデバッグとは

Cygamesでも、手作業によるデバッグには力を入れてきました。創業時からソーシャルゲームがメインだったこともあり、実機検証が大きなウエイトを占めています。

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実機検証では、国内で発売される主要なスマートフォンやタブレットなど、すべての携帯端末で動作や表示のチェックをしています。どの端末がどれくらい快適にプレイできるかを、手動でテストするのです。このため、検証用端末はデバッグチームが所有するものだけでも1300台以上にもなります。

最後に

Riot Gamesの「PLAYER RESEARCH LAB」もCygamesの実機検証も、人の手による検証である点は共通です。こうした検証はもちろん重要ですが、いま私は、別方向からのアプローチの必要性を感じています。

開発するゲームタイトルが増え、またゲームの内容も複雑化し、検証項目がどんどん増加しています。もはや人の手では追いつかなくなりつつあるので、AIなどを導入して効率化や品質向上を図っていく必要があるのです。すでにそのための取り組みも始めていて、GDC 2018ではディープラーニングを用いてデバッグを効率化する技術についての研究発表も行いました。

手作業による地道な実機検証に加えて、今後は効率化や自動化を強化したいと考えています。並行して開発するゲームタイトルが増え、また1つのゲームが高度化していく中で、必要十分な検証を短期間に行うことが品質向上のカギとなります。そこをエンジニアリングによって効率化する仕組みが必要なのです。

そのために、分析から提案、設計、自動化を実現してくれるエンジニアを求めています。効率化や自動化に興味がある人は、ぜひ当社の採用ページをご覧ください。一緒に、世界で勝負できるような高い品質のゲームを作りましょう。