みなさまこんにちは。Cygames執行役員 兼 技術本部 副本部長の中村です。
去る3月19〜23日、米国カリフォルニア州サンフランシスコで「Game Developer Conference 2018」(GDC 2018)が開催されました。ご存じの通り、GDCは世界中のゲーム開発者が注目する、世界最大規模の国際会議です。今回当社からは、エンジニアやクリエイターなど10名以上から成る視察チームを編成しGDCに参加してきました。
GDCは年々勢いを増しています。今年は5日間で750本のセッション、ブース展示や各種表彰などが実施。延べ2万5000人以上のゲーム開発者や関係者が参加する巨大イベントとなりました。
名物となっているポストモーテムも相変わらず大盛況で、「Unity」や「Unreal Engine」といったゲームエンジン関連の発表も活気に満ちていたほか、XR(VR/AR/MR)といった技術も進化を見せていました。
ちなみに、ポストモーテムというのは「事後検証」と訳されることが多いですが、開発者によるサービスリリース後の振り返り、あるいは公開反省会のようなもの。開発過程やリリース後に得た気づき、課題などを赤裸々に語ることで、業界全体のクオリティ向上を目指す、きわめてオープンな取り組みです。
視察チームの面々は、上記のようなGDCの各イベントに参加したほか、近郊のゲーム会社を訪問したり、GDCの参加者が集まるさまざまなパーティに出席したりと、充実した5日間を過ごしました。
そして、現地で入手した知見を社内に共有すべく、社内報告会を4月16、17日の2日間にわたって実施しました。
研究成果を世界に向けてプレゼン
実は今回、当社では視察だけでなく、公募セッションの講演者として、研究発
表も行いました。当社の社内研究所である「Cygames Research」の所長・倉林 修一が、「AIを活用したデバッグ」(AI-Driven QA)と題して、ディープラーニング技術を用いてデバッグを効率化する技術についての1時間の講演を行いました。
※セッションの内容は「GDC Vault」で視聴可能となっていますので、アカウントをお持ちの方はぜひご覧ください。
今回、公募セッションに応募した理由は、日本のゲーム業界から世界に向けて、面白い技術やチャレンジを発信していくことが重要だと考えているからです。
日本には、海外の開発者と比較しても優れた技術が存在しますが、英語での情報発信が活発でないために、世界の技術開発の流れの中でポジションが取り難い状況です。
そこで、Cygames Researchでは、学術的な国際会議のみならず、GDCのような開発者会議でも積極的に発表を行い、日本のゲーム業界のプレゼンスを少しでも高めていきたいと考えています。これからも、様々な形で世界へ向けて日本のテクノロジーを訴求してまいります。
視察の成果を共有すべく、社内報告会を実施
視察チームの各スタッフは、自分の専門分野のセッションを視聴し、最新の技術動向や知見を得てきました。情報を入手することも大事ですが、それ以上に大きかったのは、現地に足を運ぶことで、最先端を行くゲーム開発者たちから刺激を受け、また世界各地の熱意ある開発者たちとのつながりを得られたことです。
今回、社内報告会を実施したのは、そんな刺激を広く社内で共有したかったからです。そうすることで、より多くのエンジニアやクリエイターの成長につなげたいと考えました。
最後に
Cygamesが掲げる信条のひとつに、「良いアイディアは圧倒的なインプットから生まれる」というものがあります。GDCで得てきた、世界トップクラスのエンジニアやクリエイターたちの知識・知見は大いなるインプットとなるでしょう。
社内のスタッフたちも、視察チームが持ち帰ったものから少しでも学ぼうと貪欲です。報告会は、部署や職種を問わずに希望者を募るかたちにしたところ、2日間で延べ300人以上が出席する大盛況ぶりでした。
今回のGDCでは、社内報告会を開催し、熱意のあるスタッフが大勢集まっていることを再認識することができました。このような環境で働けることは本当に素晴らしいと感じます。
最高のコンテンツ作りに役立てられるように、来年以降も同等以上の規模の視察チームの派遣と、セッションを行いたいと考えています。